森鴎外 最後の一句 1915年10月 中央公論に掲載されました
大阪の船乗り業桂屋の主人・太郎兵衛は、知人の不正を被る形で死罪になった。
悲嘆にくれる家族の中で、長女のいちは父の無罪を信じ、単身西町奉行に助命の
願書をだし、父の代わりに自身と兄弟たちを死罪にするよう申し立てる
女房と子供たちを白洲に呼び寄せ、責め道具を並べて白状させようとするが、
お前の願いを聞いて父を許せば、お前たちは殺される。との問いに
いちは冷静に「よろしゅうございます」と答え娘の孝心にも感じさせられ
死罪を免れる。